TFTの発見と進化
思考場療法®(TFT:Thoght Field Therapy)は、米国の臨床心理学博士 ロジャー・キャラハン博士(Dr. Roger J. Callahan Ph.D.)により開発されたました。
1979年、深刻な水恐怖症クライアント、メアリー治療を実施していました。どの位深刻かと言うと、短時間のシャワーですらストレスになるほどで、雨が降ると恐怖のため家から一歩も出られないほどの深刻さです。
ある日、治療の一環として、プールのそばで治療を始めたのですが、彼女はひどく動転していたこともさることながら、「みぞおちに響くんです。」と身体症状を訴えました。
その頃、キャラハン博士は、中国医学についても通じており、試しに、胃のツボである目の下を指さしながら、「ここを叩いて(タッピングして)ください。」と伝え、メアリーは言われた通りにタッピングしました。
その瞬間、大変な事が起こったのです。
メアリーは、「なくなった!」と言い、飛び込みそうな勢いでプールに近づき、水を触り始めたのです。
この事件がTFTの始まりとなりました。
現在のTFTは、利用するツボやパターンなど、ほぼ確立されたものになっており、中級レベル以上のセラピストであれば、クライアントの抱える問題をほぼゼロの状態にすることができます。
TFTのセッション
TFTのセッションでは、セラピストのガイドに従い、クライアントご自身で、自身のツボをトントントンっとタッピングしていただきます。
タッピングの強さは、「痛くなるほど強く叩く必要はありませんが、しっかりと刺激が伝わる程度」でお願いしています。
タッピングする際の指の本数は人にもよると思いますが、タッピングするポイントがはっきりわかる箇所は「人差し指と中指の2本」で、タッピングするポイントが分かりにくい箇所については「人差し指から小指までの4本指」で「どこかの指がポイントに当たっているだろう」位の感じで、タッピングしてもらえればいいでしょう。
爪を延ばしていて指先でのタッピングが難しい方は、「グ~」の手をしていただいて、指の関節などを使ってタッピングしていただいてかまいません。タッピングポイントによっては「指の腹」を使ってもいいかと思います。
クライアントの筋肉の強さを測るために、セラピストは、クライアントの腕を押させていただく(中級以上のセラピストの場合)ことがありますが、それ以外に、緊急を要する場合を除き、セラピストがクライアントの身体に触れる事はありません。
このため、「男性のセラピストが女性のクライアントに対応する」もしくは「女性のセラピストが男性のクライアントに対応する」といった場合でも、安心してセラピーを受ける事ができます。
また、小さいお子様や身体の不自由な方、ならびに、セッション中の動揺が激しく介助が必要と思われる方などには、近親者の方や介助者の同席をお願いする場合があります。
TFTでは、クライアントご自身でタッピングしていただきますし、セラピストのガイドに従って、軽く目を動かしてもらう、ハミングしてもらうといった程度のことですので、当然ながら、副作用はありません(正確には、「副作用はない」と言われている)。
ストレスケアを例にとり、タッピングポイント・手順(動画も含む)が、日本TFT協会のページで紹介されていますので、もし、興味のある方は、試してみるのもいいかもしれません。
思考場へのチューニング
元々、TFTは、キャラハン・テクニック(Callahan Techniques®)という名称でした。
しかし、学会等で利用する名称としては、あまり適切でないという事で、セラピーの際に、その問題について考えてもらうと、気分や感覚が集まる場所がある事、また、TFTのテクニックがその部分にアクセスすることから、Thought Field Therapy®、略してTFTという名称としました。日本語では、思考場療法®という名称になっています。
TFTの名称からもわかるとおり、TFTを使ったセラピーでは、クライアントに、問題について考えていただく必要があります。これを「チューニング」といいます。
このチューニングがうまくできていないと、TFTの効果はあまりありません。また、腰痛や肩痛などの場合、痛みそのものにチューニングするのではなく、過去のトラウマや不安の原因、怒りの対象や原因にチューニングしないと解決しない場合があります。
この為、セルフ・ケアの範囲で試す場合、現在の問題とは関連しそうもない過去の出来事にチューニングしないと効果がでない場合があります。
書籍などで方法を学ばれ、セルフ・ケアとして試されている方は、少し、過去の出来事を振り返ってみて、それについて考えた上で、試してみられると良いでしょう。
とはいえ、この思考場にチューニングするのが難しい場合も多く、うまくチューニングできるようにガイドするのも、TFT専門家の重要な役割となります。
もし、「セルフ・ケアでやってみたが、あまり効果がでない」という方は、是非、TFT専門家にご相談ください。 もちろん、チューニングへのガイドは、専門家の力量にも依存しますが、日本TFT協会を中心に、専門家は、より経験豊富な他の専門家を紹介できるような枠組みを準備していますので、必ず、クライアントを問題解決へとガイドすることができるでしょう。
TFTの専門家
日本TFT協会が認定するTFTの専門家としては、次の3種類があります。
- 初級 : アルゴリズムレベル Algorithm (TFT-Alg)
- 中級 : 診断レベル Diagnostic (TFT-Dx)
- 上級 : 最適な健康の為の診断・施療レベル Optimal Health(TFT-Adv)
アルゴリズムレベルの専門家は、症状に応じたタッピング手順(アルゴリズム)を習得しており、約80%の確率で、クライアントの問題を解決できます。また、医師や臨床心理士だけではなく、看護士、介護士、カイロプラクティック等の様々な整体士や療法士、教員など、多くの援助職の方が認定を受け、それぞれの職業において補助的手段として利用されています。
書籍などで紹介されている手順を用いたセルフ・ケアなどもアルゴリズムの範囲となります。ただし、一般の方と認定セラピストとでは、「人の心に携わる事を理解し、真摯にクライアントと向き合う精神(守秘義務含む)」を有し、「思考場へチューニングする為のガイド技術」を日々研究している点で大きく違います。
アルゴリズムレベルでの問題解決が、約80%ということから、クライアントによっては、効果がでない事があります。その場合は、中級以上の専門家の紹介を受けるか、直接、相談をしてください。
アルゴリズムレベルで問題が解決できない原因としていろいろ考えられますが、「既定の手順がクライアントに合っていない事」や「うまく思考場にチューニングできていない事」が主だった原因と考えられます。
前者の場合、中級以上のセラピストによる診断により、クライアント独自の手順(アルゴリズム)を見つける必要があります。後者については、専門家の本来の職業(医師や臨床心理士といった専門職なのか、教育関係なのか・・・など)にも依存しますし、専門家のガイドの技量にも依存します。
後者の場合で多いのが、「書籍を見てやってみたが、うまくいかなかった」と相談にこられるケースです。
人が「自然と嫌な事は避ける」のは自然の摂理で、心は安全な場所を求めて簡単に逃げてしまいます。この為、書籍を見てセルフ・ケアとしてやってみる時に、自分で自分の事を直視しようとしても、根本原因にうまくチューニングできない場合があります。
また、まったく予想がつかない所が根本原因であったという事もあります。
このため、効果が出ない場合は、是非、専門家にご相談ください。 近隣のTFT専門家については、日本TFT協会の検索ページで見つける事ができます。
ちなみに、「ハート・リッチ・クリエイティブ」の紹介は、同ページの県名に「兵庫県」を選択し、「上級セラピスト」にチェックを入れていただければ出てきます。
中級以上のセラピストは、アルゴリズムレベルの認定を受けた上で、上位のレベルの認定を受けられる仕組みになっている事から、アルゴリズムレベルの専門家では解決できなかった問題を解決できる可能性が非常に高くなります。 効果の度合としては、中級の診断レベルで約90%、VT(Voice Technology)を用いる上級レベルで98%と報告されています。