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間違ったマインドセットが間違った結果を生む


混乱「知識だけでは行動できない」の項目も記載しましたが、行動はマインドセットによって決まり、とった行動によって結果が変わってきます。

 

このマインドセットが間違っていると、知識が正しくても間違った行動になり、場合によっては正しい知識も曲げられ、悲惨な結果につながる事があります。

 

荷物2013年の夏。宅配業者で、冷蔵・冷凍した状態で運搬する荷物の仕分け等の際に、一部で、常温の環境で処理されていた事がニュースで取沙汰され、大きな問題になりました。この事件は処理手順がマニュアル(知識)に書かれていたにも関わらず発生しています。

 

なぜこれが起きたかというと、「荷物を安全に顧客に届ける」というマインドセットが欠落していたためと考えられます。もちろん、短時間で多数の荷物を休みなく処理し続けなければならない、しかも単価も安いという過酷な労働条件である事は充分に理解できますし、忙しさのあまり「とにかく処理しなければ」といった圧力もあったと思います。

 

しかしながら、マニュアルを無視してまで、やっていい事ではありません。マニュアル記載の事項が現実的でないならば、マニュアルの改変(マニュアルも所詮は人が作った物なので、不完全であり、それが完全であるという固定概念は捨てないといけません)やサービスレベルの見直しなどにエネルギーを使う必要があります。

 

テレビの宣伝では「思いも一緒にお届けします。」といったような事も語られる場合も多いのですが、あくまで会社としての意見で、実際の作業者のマインドセットにまで浸透していなかったのではないかと思います。実際問題、会社の理念を従業員の末端まで浸透させるのはとても大変で、どういった企業でも研修や教育、会議などを通じて浸透させる努力はしています。

 

この問題は、被害の度合は大きく違うものの、根本的には、尼崎の脱線事故と同じと考えることができます。

 

例えば、届ける荷物(冷凍・冷蔵便なら食品だと思います)は、自分の家族に届けるもの。この電車には自分の家族や恋人が乗っている。そういったベースを基にしたマインドセットを持っていれば、こういった事故は起きないでしょうし、正しいマインドセットに持つ事によって、もっと楽に意識できる事になります。

 

もう1件。

 

2013年夏には、事件・事故とはなっていませんが、へんてこりんな事がありました。

 

2013年夏は、非常に暑い年で、コバエがたくさん発生し、食品業者も大変だったと思います。

 

給食そういった中で、「給食のパンにコバエが入っていたので、それを各自で取り除かせて食べさせた」という事が報道機関で取沙汰されました。

 

現場の教職員の方の話では、「マニュアルに、取り除いて食させるように記載されている上、ついていたコバエに有毒性がない事を専門機関に問い合わせし、安全性を確認したので、それに従った。」とのことでした。

 

給食の配膳などは生徒たちがやるので、当然ながら、その間にコバエが混入するような事はあるでしょう。その場合は、それほど神経質にならずに、取り除いて食べればいいと思います。おそらくですが、マニュアルもそうのような状況を想定して書かれていたと思います。

 

しかし、この件についてはそういった部類のものではなく、給食業者がパンを焼く際に、すでに、鉄板の上についていたもののようで、その量も一つのパンにつき、3匹~5匹と尋常ではない量です。

 

さて、この問題はどうでしょうか?

 

もちろん、ただでも低予算で給食を作らなければならない業者が、大量に発生したコバエの駆除やそういった虫が混入しない調理環境を整えるのは難しいことだと思います。しかしながら、そもそも論として、こういった大量にコバエが入る環境での調理が、食品衛生法上、OKの事なのでしょうか?(詳しくは知りませんが)

 

また、対処した教職員の方々も「マニュアルに書いてあるから」と言って、尋常ではない量のコバエが混入している状況に、違和感を感じなかったのでしょうか?

 

この件は、マニュアル(知識)を都合のいいように解釈し、それを許容したマインドセットの問題だと考えています。もしくは、マニュアル (知識)があるがゆえに、正常に考える思考の停止がおこったのかもしれません。

 

また、給食業者も、子供たちが笑顔で給食を食べている光景を想像するマインドセットで作られていたのかも疑問に思えます。大量のえさを作っている感覚のマインドセットだと、子供を預けている親としては、ちょっと辛いですね。

 

特に、学校という場所、特に初等教育の現場というのは、よそ様のお子さんを預かっている意識が高い場所なので、より一層、気を使う所でもあり、常日頃から、現場の教職員の方々は、本当に神経を使っておられる所でもあります。

そういった場所で、こういう判断となったのが、不思議でなりません。また、テレビなどの報道でも、「一般企業であれば、全部回収する」とコメントする事はあっても、「そもそも論として、食品衛生法上、どうなの?」と突っ込んだコメントをされる方も皆無だったので、私個人としては、とても、へんてこりんな事と思った次第です。

 

これらの例のように、正しいマインドセットが断定的にあるわけではありませんが、間違ったマインドセットは、時として悲惨な事件・事故につながることがあります。

 

企業では、企業理念や社訓といった形で社員に伝えているのですが、マインドセットは各個人が持つものなので、コントロールする事は難しい事です。これを補うために、研修(知識の補充・方法論の学習)などをやるのですが、その前に、各個人のマインドセットを整理しておかないと、大きな効果はでません。

 

特に、社員研修などで、受ける側が「やらされ感満載」であればあるほど、高い講習費を負担してまで実施する意味がありません。

 

 

個人主義が進む現代社会において、集団としての力よりも個人々々の力の発揮が企業を成長させる原動力となっています。特に、メンタルに関する事項は、知識よりも強い力を持っており、マインドセットがしっかりしていれば知識の方が後から着いてくるという事もあります。

 

こういった面で考えると、メンタル・マインドのプロであるカウンセラーは、個人の心の問題解決だけでなく、直接的ではないにしろ、企業成長の一助となる可能性は高いです。


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