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HRV(エイチ・アール・ヴイ)


憂鬱

なんとなく胸のあたりがモヤモヤする。

 

緊張すると心臓がバクバクする。顔が紅潮する。手が汗だらけになる。

 

ストレスのかかる場所に行く事やストレス源になっている人に会う事を考えるだけで胃が痛くなる。

 

仕事場や学校など、ストレスを感じている場所に向かおうとするとお腹を下す。

 

こういった症状は、意志の力でコントロールする事ができない事から、自律神経(交感神経と副交感神経)が関係している事がわかるかと思います。

 

 自律神経のバランスを科学的に測る指標(正確には、自律神経系の状態を知る窓口)として、HRV(Heart Rate Variability)というものがあります。日本語では「心拍変動」等と訳されます。

 

心理カウンセリングや心理セラピーでは、言葉による誘導やクライアントに具体的な言葉にして言ってもらうといった事をします。その結果、「なんとなく大丈夫な感じがしてきた」とか「なんとなく言われるとおりかな?」といった、心理的な思い込みが生む効果(プラシーボ効果)が入りこみます。当然ながら数値的に測る事はとても難しくなります。

(注:思い込みや認知の変更なども効果的な治療になっていますので、プラシーボ効果が悪いわけではありません。)

 

その点、HRVは、唯一、こういったプラシーボ効果の影響を受けず、心身の健康状態の改善具合を科学的に測定できる指標と言う事ができます。

 

また、うつ症状や常に不安を抱えている人はHRVの測定によって得られる数値が小さくなる傾向があったり、HRVが改善すると心理的な問題も改善したりしますので、心療(内)科やカウンセリングルームでも、改善具合を測る指標として使われている所も多くあります。

 

HRVとは、心拍変動という言葉が示すとおり、心臓の心拍と心拍の間の時間が変動する現象をさしています。

一般的には、年齢とともに変動は小さくなる傾向にあります。また、変動が非常に小さい(=より一定に鼓動する)場合は、心臓の病気が潜んでいる場合もあります。つまり、柔軟に変動する方が若くて健康的という事になります。

 

HRVの話がされる時、「HRVが改善する」とか「HRVが低い」といった言い方をする場合がありますが、「HRV」という言葉自体は現象の名称で、実際に「HRV値」といった数値があるのではなく、指標とする数値は、違う言葉で表現されています。以下、指標となる具体的な数値について記載します。

 

心拍というのは、安静にしている時でさえ、一定の時間間隔で鼓動しているのではなく、毎回、少しずつ違う間隔で鼓動しています。

RRinterval

上図に示すとおり、ある心拍から次の心拍までの時間がR1であったとしても、更に次の心拍までの時間は同じ時間ではなくR2という時間に変動します(たまたま同じ時間になる場合もあります)。

 

この1つの心拍から次の心拍までの時間をIBI値(Inter Beat Interval)と呼びます。医療ではR-R時間と呼ばれています。

 

下図は、10代前半男性に椅子に座って安静にしてもらっている状態で5分間、IBI値を測定したものです。この図でもわかるように、けっこう、心拍の時間間隔というのは変動しているものなのです。

IBI2

 

 下図に示すとおり、このIBI値のデータを数分間測定・蓄積し、統計処理すると変動幅を求める事ができます。

RRinterval2

統計処理と言っても難しい話しではなく、心拍の変動具合は、ほぼ正規分布のようになりますので、平均の心拍間の時間(平均値 μ)と、その標準偏差値(σ)の値を求めればよいだけです。

 

 この標準偏差値(σ)をSDNN(Standard Deviation of the Normal to Normal Interval)、もしくは、SDRR(Standard Deviation of the R-R Interval)と言います。

 

HRVの測定で意味を持つのは、このSDNNの数値です。

 

IBIHisto 右の図は、前述の測定に協力してくれた10代前半男性のIBI値の分布と計算によって求めた標準分布です。

さすがに若いだけあって、SDNN(標準分布の σ)は、110程度になっています。

(10代前半という事もあって、安静な状態を意識してキープするのは少し難しかったかもしれません。このため、少しばらつきはあるのですが、SDNNの値としてみた場合、それほど大きく値がずれるという事はなさそうです)

 

 SDNN(安静時)の値は、若い方やとても健康な方ですと100を超える数値になる方もいらっしゃいます(TFT創始者のキャラハン博士は、食事にも注意を払い、高齢にも関わらず、100以上の値をキープしていたと聞いています)。

 

成人であれば、SDNN(安静時)の値は、経験値ではありますが、概ね40~80位の間の数値になるようです。

40を下回る方は、もしかすると、意識していなくても、知らず知らずのうちに、ストレスを抱えてしまっているかもしれません。

ちなみに、1桁の方は、速やかに循環器科の診察・検査を受けられる事をお勧めします。

 

HRVの測定を通して、TFTが心臓に良い影響を与えたり、自律神経の調整をすること、そして、その結果として、身体的・心理的な変化を引き起こす事が明らかとなっています。これは、TFTが心の問題の解決だけでなく、全般的な健康の増進にもつなげることを意味しています。

 

思考場療法入門」の書籍では、キャラハン博士の知人が、「心房細動の症状で集中治療室に入院している時に、いろいろな薬の処方でも状態を安定させる事ができなかった症状が、TFTを3~4分試す事で心房細動がなくなった」という逸話が記載されています。ご興味のある方は、ご一読されることをお勧めします。

 

TFTがHRVを改善し、HRVが改善する事で心の問題が解消されるのか、TFTが心の問題を解決した結果、HRVも改善するのか、どちらが先でどちらが後なのかはわかりませんが、客観的に考えてみると、例えば、普通なら緊張する場面で心臓がバクバクする事がなくなるのであれば・・・、先の事を考えた時に胃が痛くなる事がなくなるのであれば・・・、結果として、より冷静に対処する事ができるようになることは容易に想像できることと思います。

また、これが健康にも良いという事であれば、試さない理由はありません。

 

その他、HRVの改善は、学習や試験時のストレスケアや集中力の向上、職務ストレスのケアやパフォーマンス向上、スポーツにおける練習メニュー(ストレス)の強度指標やパフォーマンス改善などにも役立てられています。

 

 


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