他人の目が気になる、気を使いすぎる
いつも他人が自分をどう見ているか気になる。
自分が行動した時に他人の反応が気になる。
他人との会話や交流する時にあまりに気を使いすぎる。
円滑に社会生活を送るためには、ある程度はこういった気遣いが必要なのですが、これが過度の状態になっている人は、実にたくさんいらっしゃいます。特に、カウンセリングを受けられる方にはとても多いです。
このように感じておられる方は、普段の生活がとても疲れます。人によっては、これが生き辛く感じさせる原因になっている場合もあります。
他人との交流をする時に、過度に気を使いすぎてしまう人は、自分の意見は飲み込んでしまい、相手が気に入る話(提案)や行動をしがちです。その結果、例えば仕事では、自分は望んでいない作業ばかりが集まってきたり、損な役回りを押し付けられたりします。
そうなってしまう原因は自分にあるのですが、自分自身の意見で行動しているのではなく、所詮、他人の意見で行動させられてしまっていることから、こういった方に限って「どうして私ばかり大変な思いをするの?」といった愚痴が出てきたりします。
こういった、自分を見る他人が過度に気になったり、他人の意見を優先してしまうのは、その方が持っておられる一種の癖のようなものです。
少し冷静になって考えてみましょう。
他人は自分が思うほどあなたの事を見ていない
よっぽど奇抜なかっこうをしていたり、変な行動をしない限り、本人が思う(感じる)ほど、他人はあなたのことを見てはいません。
病的にあなたを監視してやろうという人か、恋愛感情を持っている人でもない限り、あなたの行動を監視したり、干渉したりするほど、人は暇ではありません。
そんなことはわかっている。でも、どうしても他人の目が気になる。その正体は何でしょうか?冷静になって考えてみましょう。
そう!あなたが他人の目と感じているのは、自分自身の目なのです。
変な言い方ですが、自分で自分の意識をまわりにばらまいて、ばらまいたあなた自身の目というか意識があなたを見ているわけです。こういった場合、往々にして、批判的な目で見ています。
この状態だと、普段から疲れて当然です。一日の生活が終わると、もうへとへとですよね。
先に結果はわからない
相手の気に入りそうな話や行動を先に想定して、自分の意見を押し殺して話しをしたり、行動したりしてしまう方。その根底には「恐れ」の感情があります。特に嫌な思いをする代表格が「批判」です。
誰しもが、自分の意見に同意してくれたり、自分のアイデアにポジティブな評価をしてくれると嬉しいものです。しかし、必ずそうなるとは限らず、批判を受ける場合もあります。
このため、ついつい、相手が気に入るであろう事柄を先に想定し、なるべくそうなるように、言葉も選びつつ交流してしまうことになります。(攻撃は最大の防御で、「恐れ」の感情が、過度に他人を攻撃してしまう行動として現れる場合もあります。)
「批判」というのは、精神的にも大きなダメージを与えるものなのですが、ここでも少し、冷静に考えてみましょう。
実は「批判」というのは、誰にでもできる意見の出し方なのですね。なぜ、誰にでもできるかというと、批判したからといって、批判した人に何の責任も発生しないからです。つまり、「批判」というのは、批判を受ける側は、とても嫌な思いをするのですが、批判する側は、とても無責任な発言をしているわけです。時間経過とともに、言った側は、言った事すら忘れている場合も多々あります。
という事は、その批判やアドバイスに従って、行動を変えて失敗したとしても、言った人が責任を取ってくれるわけではないので、極端な話ですが、耳をかさない、もしくは、流す(スルーする)というのも一つの選択肢なのです。
もちろん、その意見がもっともな話で、自分にとってプラスになる事であれば、部分的にでもそれを吸収して、よりよい方向に考え方を変えればいいだけで、意にそぐわない意見に振り回される必要はありません。
しかしながら、他人の意見を優先してしまう方は、この批判を正面からまともに受け止めて傷つき、次の時には、さらに相手の顔色を伺いつつ話をするといった悪循環に陥っている場合が多いようです。
まず、「何かをするときは、必ず、批判があるもの」という事を理解することと、伝える前・行動する前から「先に結果はわからない」ので、何事も「言ってみないと・やってみないと」わからないという事を理解する事が大事です。そして、批判を受けても、有益な情報は自分に取り込み、不利益を被る「無責任な意見」は、ある程度、流せるようになる事が大事です。
では、「自分は自分だから他人の目は気にしない」「自分の気持ちはストレートに伝えて、批判は流す」というように、すぐになれるでしょうか?
残念ながら、答えはNoです。
特に、日本は「恥の文化」であり、小学生の頃から「授業中は着席し、意見がある時は手を挙げて、指名されて初めて話す事ができる」といった規律を重んじる教育の中で成長していきます。
もちろん、こういった、趣き(おもむき)を尊重する考え方と秩序的に行動する文化は、海外にはない良き文化ではあるのですが、あくまで程度問題で、過剰になりすぎると、自由な意見を素直に表現できなくなったり、他人からの意見(主に批判)を先に想定してしまって、発言そのものができなくなっても不思議ではありません。
こういった、大事な成長期に、本能的に反応してしまう体質になってしまっている土台があるので、少し意識を変えただけで、劇的に変わるという事はありません。また、強い意志で変えようとしても、刷り込まれて出来上がった本能にけんかを挑むようなもので、最後には、必ず、意志の力の方が負けます。
この問題を解決する(もっと楽な気分で社会を生きれるようになる)には、過去、つまり、成長の過程の状況にまで遡る必要があります。
成長過程における感情を伴う記憶の解消が大きな鍵
他人の目を気にする方、他人の意見を優先してしまう方。そういう体質になる原因が、幼少期から独り立ちするまでの過程にある場合がほとんどです。
学校教育の現場での経験も影響はありますが、それよりも、もっと大きな影響を与えるのが、成長時期における保護者との関係です。(通常は自身の親ですが、場合によっては、影響力の強い遠縁の人でも当てはまることがあります)
他人の目が気になる方。言葉を選びながら話をすることが癖になっている方。幼少期の頃から、次のような環境で育った、もしくは、経験したという事はありませんか?
- 小さい頃から、なにかと親から干渉を受け、怒られる時は、軽くであっても、叩かれる事が多かった。もしくは、強い口調で怒鳴られる事が多かった。
- 父親もしくは母親のどちらかが非常に厳格で、家庭における支配者であった。
→ 必然的に、会話する時も、言葉を選んでしまう。 - 「いつもいい子に見られたい」という思いから、本当はやってみたかった事なども、ぐっと飲み込んでしまう事が多かった。
- 習いごとなど、自分はやりたくなかったが、怒られつつもやり続けさせられた。
→ これが現在の自分にとって「あの時やってて良かった」と思えるほどのプラスになっているならば問題はありません。ただただ辛い思いだけが残っていると問題です。 - 極端に過保護だった。
→ 極端な過保護は、なんでも先に答えを教えるようなもので、「やってみる」という意欲を失うだけでなく、失敗した事に工夫を加えて解決するという成功体験をも奪います。 - 「あなたは運動音痴だね」とか「ほんと、不器用なんだから」などなど、能力の限界を決めつけられた事がある。
→ 親というのは、自分の子供を一つの人格ではなく、自分の所有物でもあるかのように考えてしまい、傷つけたり、可能性の限界を決めつけたりしかねない、配慮に欠けた言葉をかけてしまう事があります。
あくまで例なので、 他にもいろいろあると思いますが、こういった環境や経験のもと成長していくと、自分の本当の気持ちは、どんどん心の壺(詳しくは「心の壺」の章を参照)に押し込めていってしまい、いつも周りを気にしながら生きていく術(すべ)を強化し、自分にとって生きにくい社会に感じさせる結果になります。
「トラウマってどこまでをトラウマと言うの?」の章にも記述していますが、こういった環境や経験は、一般的にはトラウマとは認識されにくい事なのですが、実は、立派なトラウマなんですね。
特に、まだまだ繊細で弱いガラスのハートの時期に受けた仕打ち(場合によっては継続的に受けてきた仕打ち)なので、とても根深く、意志の力で簡単に変えられるものではありません。
他人の目を気にしたり、言葉を選んで交流してしまうのは、一種の癖のようなもので、囚われの身になっている心を早く卒業させてあげた方がいいのですが、それには、まず、心の壺に詰め込んで、強化され続けてきたトラウマを解消し、場合によっては活かせる経験に変える必要があります。
こういった子供の頃に受けた傷を癒すことで、現在の社会生活で支障がでる感情や考え方の癖を解消する事を「インナー・チャイルド・セラピー」と呼びます。
インナー・チャイルド・セラピーの方法としては、言葉によって心の中にいる子供の時の自分を癒す方法や催眠を使う方法など、いろいろあると思いますので、ご自身に合った方法を選択されればよろしいかと思います。
ただ、この問題の核心は、子供の時に作られてしまった心の傷が原因で、これはトラウマですので、一番、安全で、早く(「論文でも報告されている実験で証明された効果」の章を参照)、副作用もないTFTを使われる事をお勧めします。
[全体目次]活き方のヒントへ
[部分目次]心の知識
- 心の壺
- トラウマってどこまでをトラウマと言うの?
- 活きるポイントはリラックス
- ダイエットはほとんどが失敗するか長続きしない
- 占いとメンタルケア
- 他人をコントロールする事はできない。
- [Now]他人の目が気になる、気を使いすぎる
- ケリー・ターナー著「がんが自然に治る生き方」とTFTの利用